慶應義塾大学とブラウィジャヤ大学でインドネシア初の8K非圧縮ビデオ会議を披露
2023年8月9日、アジア太平洋地域研究教育ネットワーク(ARENA-PAC)は、インドネシア研究教育ネットワーク(IDREN)とブラウィジャヤ大学(UB) と共同で、インドネシアにおける教育用100Gbps高速ネットワークの運用開始を記念する式典を開催しました。
式典では、インドネシア会場のUBと日本会場の慶應義塾大学日吉キャンパスとを8K非圧縮ビデオ会議システムで接続し、インドネシアでは初となる8K超高解像度ビデオ会議を実施。太平洋に広がる研究・教育ネットワークの大容量・低遅延を実証しました。
インドネシア会場では、3つの組織の代表、UBのWidodo教授、ARENA-PACの村井純教授、IDRENのAchmad Affandi博士が式典に出席し、日本会場ではHeri Akhmadi駐日インドネシア大使と岡田英史慶應義塾大学常任理事が出席しました。両会場では、学生たちもこの記念すべき式典を見守り、交流を楽しみました。
ARENA-PACの共同ディレクターである村井純教授は基調講演で「私たちは、研究教育ネットワークの重要性を訴うメッセージを、G7、G20、OECDなどのグローバルリーダー達に、常に送り続けています。」と述べ、高エネルギー物理学、医療、天文学など多くの科学的目的のために、商用インターネットサービスプロバイダ、テクノロジー、アプリケーション関係者と協力し、研究・教育ネットワークの観点からグローバルインターネットの次のステージに向けて協力する必要があることを強調しました。加えて、グローバルな研究・教育ネットワークのためには、ヨーロッパ、北米、南米、アフリカといった他の地域とも協力する必要があると述べました。また、IDRENを支援することを約束したインターネットサービスプロバイダと大学が協力しているインドネシアの大学とIDRENの仕組みはユニークであると、高く評価しました。
Heri Akhmadi駐日インドネシア大使は、今年はインドネシアと日本の外交関係樹立65周年という記念すべき年であり、この運用開始はその意味でも時宜を得たものであると聴衆に思い出させました。また、「ARENA-PACとIDRENの設立は、インドネシアの大学や研究機関が多様な分野で国際的な協力関係を築くために不可欠なプラットフォームを象徴するものです。」と述べ、更に「この接続性は、研究パートナーシップを育み、知識の共有を促進し、グローバルな課題に効果的に対処できる共同研究イニシアティブのための新たな道を開くだろう。」と付け加えました。
Widodo UB学長は、この運用開始記念式典は2022年に3つの組織間で調印されたMoUのフォローアップであると説明しました。このネットワークで重要なのはコラボレーションであると強調し、次のように述べました。「この研究と教育に特化したネットワーク・インフラは、データ転送だけでなく、研究教育のコラボレーションによって革新を加速し、私たちがデジタル時代に突入する準備を力強く後押しするチャネルでもあります。」
また、学長は、このネットワークは、UBをゲートウェイとしてIDRENを東京やその他の数ヶ所とグアム経由で結んでいると述べ、更に、この協力関係はインドネシアが現在のグローバルな研究・教育ネットワークに接続されるための大きな飛躍でもあると述べました。
岡田英史慶應義塾大学常任理事は、ARENA-PACをはじめとする研究・教育ネットワークが共同研究のインフラとなる可能性について、次のように述べました。「人工知能やバイオメディカルイメージングなどの研究分野では、大量のデータが生成・利用されます。このインフラは、教授、研究者、学生をつなぐ、そのような研究に適したものです。」
高等教育・研究・技術総局長官代理であるTjitjik Sri Tjahjandarie教授は、このコラボレーションが、研究と教育におけるさらなるコラボレーションのきっかけになることを期待すると共に「IDRENは、特にインドネシア東部において、その活動範囲を拡大すべきです」と述べました。
このイベントは、アストロデザインによる両会場での8K関連の技術サポート、セイコーソリューションズ、ジュニパーネットワークス、アリスタネットワークスの両会場間で超高速伝送が要求される映像・音声データ転送を可能にするネットワーク機器のサポートによって実現しました。また、慶應義塾大学とARENA-PAC間の100Gbps接続は、NII(国立情報学研究所)が運営する学術情報ネットワークネットワークSINET6と、RENのグローバルな交換ポイントであるGXP-Tokyoの支援を得ました。
ダイジェスト動画:https://youtu.be/CgZiZs0bYWU